数楽どん話

期待値

数学の部屋(青木さん)の掲示板より

「初めまして.都内で数学の教員をしている者です. いつも Read Only でしたが,初めて書きこみさせていただきます. 私が2ヶ月以上結論を出せずにいる期待値(確率)の問題を, 皆さんにも考えていただきたくて... お金の入った2つの封筒A,Bがあり,片方には他方の2倍の金額が入っていると判っています.今,どちらか選んだ方の封筒の中のお金をもらえるとしましょう.そのうちの一方,例えばAを選んで中を覗くてみたら,1000円入っていました.さてここで問題.このとき,Bの封筒に入っている金額の期待値はいくら? 
<答え(!?)> Aが金額が多い封筒である確率とBがそうである確率は等しい,つまり,Bの中身が500円である確率とBの中身が2000円である確率はともに1/2のハズ.よって(期待値)= 500×(1/2)+2000×(1/2) = 1250(円)...しかし,封筒Aの金額と封筒Bの期待値が異なるというのはおかしいと思うのですが...(選ばなかった封筒の方が期待値が高いということは,もしも一方の封 筒を覗いた後に封筒の選択の変更を許可されたら,必ず変更した方が得ということになってしまう)」

これについての議論が数学の部屋の掲示板で盛んにおこなわれています。これについては西三数学サークルでも3年前(1997年11月・58号)に話題になり結論を出しています。

サークルの鶴原さんは、つぎのような具体例で誤りを指摘しています。
封筒を差し出す人は、Aグループ(500円、500円、500円、2000円の4通)とBグループ(1000円の1通)の二つのグループを用意し、Aグループからデタラメに1通、Bグループから1通取出し、相手にどちらかを選んでもらいます。上の問題では1000円入っていたという情報と2つの封筒に入っている金額の比率が2:1だけで他のことはなにも言っていないので上記のように設定してもまちがいありません。
このように2つの封筒に入っている金額の分布(標本空間[0,∞]の上の確率分布)はなにも分かっていないので一方の封筒に1000円が入っていたからといって、もう一方の封筒に入っている500円または2000円の確率がそれぞれ1/2とはいえません。


2/27のYoshitaの数学の部屋の書きこみ

羊飼さんの返信(2/25):つい先ほど,ここに『yoshitaさんのHP拝見しました.納得しました! やっと今晩からはぐっすりと眠れそうです.』と書きこんだのですが...後半略

数学なんかヨシタヨシタです。眠れそうといいところまではいったようですね。しかしとまた、頭が混乱・・・と。納得の仕方だと思います。そのために具体例を出します。
Yoshitaくんが賭博を開きます。お客さんは羊飼さんです。参加費は1000円です。ここに封筒にお金を入れて置いています。この中には1000円の2倍か1/2入っています。つまり、2000円か500円です。1000円出せば、この封筒のお金は差し上げます。2000円入っていれば、羊飼さんは1000円のもうけです。500円だと500円の損です。さあどうしますか? さあさあ張った張ったです。さあどうしますか? この博打に羊飼さんは乗るでしょうか? 羊飼さんは、まず迷います。このYoshitaという人は何者か、ケチな人だから封筒にこの人は多分500円しか入れないだろうからヤーメタ、いやいやこの人は気前がいいと聞いているから2000円入れているに違いないから、一丁やって1000円もうけてやれとなどなど考えるに違いない。あるいは羊飼さんは、数学の期待値を知っているから期待値は1250円だからこれは損をしないから、この博打に乗ったと思うかもしれない。しかし、羊飼さんはそう思っても決心がつかないのです。迷っているのです。胴元のYoshitaくんがあやしいと感じているからです。これでいかがでしょうか?
  蛇足ながら、Yshitaくんは2000円を出すか500円出すか、どちらも確からしい保証はありません。胴元はきっと損をしないためにも確率を1/2なんかにしません。1/2だったら何回もお客さんは挑戦すれば必ずもうかりますよね。期待値を計算しているのは2000円か500円かの確率を勝手に1/2としているだけですよね。1/2の保証はどこにあるのでしょうか? 賭博の世界はお客にはなかなか勝たせてくれないのではないでしょうか? これでいかがでしょうか?

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